この記事では、こんな悩みに答えていきます。
小学生の読書量がこの30年で3分の1に減っていることをご存じですか?
学研教育総合研究所の2019年の調査によると1カ月に読む本の冊数は全学年平均で3.1冊でした。
これが30年前の1989年調査では、全学年平均で9.1冊だったのです。
<引用:学研教育総合研究所「小学生白書」2019>
つまり読書冊数が3分の1にまで減少したことになりますね。
また、文化庁の調査で「47.3%の日本人が月に一冊も本を読んでいない」という結果も出ています。
<引用:平成30年度「国語に関する世論調査(文化庁)>
確かに子供や大人関係なく、年々本に触れる機会が減っているようですね。
子供に本を読んでほしいと思う親は多いようですが、読書が子供にどんな「効果」を与えるかをちゃんと説明できる人は少ないでしょう。
大人たちの読書量が減っているのですから、なおさらのことです。
ここでは、読書が子供に与える効果と子供に読書の習慣をつけるための方法についてまとめました。
Contents
読書が子供に与える効果
冒頭で読書が子供に与える「効果」という言葉を使いましたが、「このような能力が付く」と言い換えるとより実感がわくのではないでしょうか?
読書によって身につく能力そのものを大人たちが忘れているでしょうから。
それでは読書によって子供ができるようになる能力を5つ挙げることにします。
集中力が付く
マンガやテレビは「見る」や「聞く」という複数の手法で情報が入ってくるため、受け身の状態でも理解しやすいものです。
しかし、本を読むことは文字を追いかけ続けて、能動的に自分で理解することですから、マンガやテレビと違ってかなりの「集中力」が求められます。
ここでいう「能動的に自分で理解する」とは、つまり文章を読むことによって頭の中に自分自身でマンガやドラマを作っていると言い換えることができます。
それくらい労力のいる作業ですから、集中力が付くのはわかるでしょう。
子供も同じです、読書をすると子供は集中力が付くことになります。
そして、多くの単語や漢字に触れることになり、言葉を覚えて、読み取る力もアップします。
つまり、読書で子供は集中力が付き、学力向上につながるというメリットがあります。
知識が増える
インターネットの普及のせいか、現代人は知識を常に頭の中にストックすることを拒否します。
いつでもネットで調べれば分かるからです。
しかし、子供の頃に覚えなければならない知識は、生活に必要な基本的なものから始まり、子供たちが好奇心で知ろうとする知識までたくさんの種類と量があります。
子供たちにとって必要な知識を増やすためには読書は最適です。
インターネットでは学べないような知識や情報を体系的に教えてくれるからです。
場合によっては学校の授業では教えてくれない知識も得ることができるかもしれません。
子供にとって新しいことに興味や関心を持つきっかけになるでしょう。
人の気持ちが分かるようになる
前述のとおり読書とは、文章を頭の中で想像してマンガやドラマを作っている状態です。
そのため、子供の頃から読書をする人の気持ちが分かる大人なれるでしょう。
子供の頃から本を読むことでまず、感情移入ができるようになります。
そして、自分で作ったマンガやドラマの中で人の話が聞けるようになり、人の気持ちが理解できるようにつながっていきます。
読書はコミュニケーション能力や人間関係をつくる基本にもなっているのです。
言語能力が付く
相手が話している言葉や書いてある文字を理解したり、言葉を用いて意志を伝えすることを「言語能力」といいます。
語彙力や表現力に乏しく、意見を上手に人に伝えるが得意ではない人は、子供の頃に言語能力を付ける機会がなったからでしょう。
読書は子供に言語能力を付ける効果があります。
子供の頃から読書習慣があれば、人は正しい言葉遣いができるようになり、言語能力が付くのです。
それは、前述のとおり物語の登場人物の気持ちを理解して、話の展開を自ら想像していくからです。
想像力を豊かにする
本を読むことは、文章を読みながら風景や登場人物の心情を想像しなければなりません。
マンガや絵本も同じことです。
読み込んだ文章から自分なりのビジュアルや音声を作り上げるわけですから、想像力が豊かになります。
これは前述の人の気持ちが分かるようになる、ということとつながっています。
子供に読書習慣をつけるための方法
読書だけはありませんが、子供に何かを習慣づけようとする場合、ポイントとなるのは「動機付け」です。
そのためには「本が自分の身近にあること」や「親や大人たちが本を楽しんでいること」を子供に気づいてもらう方法が最適です。
その方法をいくつかご紹介します。
子供の身の回りに本を置く
本が手の届くところにあれば、本に関心を持つ可能性は高くなります。
リビングや寝室、廊下などいろんなところで本を手に取ることができるようにしてください。
子供の目線で見ることができる位置に配置するようして、自由に読めるようにするのがポイントです。
最近、大人でも減っていることかもしれませんが、お子さんを図書館や本屋に連れていくというものありかもしれません。
子供が興味を持つ本から始める
読書は活字から始める必要はありません。
マンガや絵本など子供が興味をもった本からスタートしましょう。
マンガを読書と認めない大人もいるでしょうが、マンガも読書のひとつと考えてください。
吹き出しのセリフも活字として想像力は膨らみます。
入口はひとつではありません。
昆虫マンガからファーブル昆虫記を読み始めるように、子供の世界はいろんなところに広がっていく可能性があります。
親も読書をする
子供に読書するように勧めておいて、親が読書をしていないというのは、恥ずかしいことです。
思った以上に子供は親のことを見ていますから。
まずは、お手本として親から読書を習慣にすることをお勧めします。
読書を勧める親として、読書が子供の与える効果を実感することもできますから。
お子さんの課題図書になったような本を親子で読んで感想を言い合うというのもいいでしょう。
デジタル本を活用する
今の暮らしの中ではスマホやタブレットで本を読むことができます。
特に、時間に追われて読む時間が取れないとなりがちな時代ですから、スキマ時間にスマホで本を読むことが手軽にできるでしょう。
現代の子供たちにはこちらの方が入りやすいかもしれません。
個人的には製本された書籍をお勧めしたいのが本音ですが。
まとめ
以上、「読書が子供に与える効果」と「子供に読書習慣をつけるための方法」の2つをまとめてみました。
読書が子供に与える効果とは、集中力、知識、コミュニケーション能力、そして想像力と子供が社会に出ていくために必要な能力が付くことでした。
また、子供に読書習慣をつけるためには、大人がいっしょになって本を読むことが基本であることが分かったと思います。
しかし、読書量が減っている大人たちが本を読まないことを棚に上げて、子供たちに読書習慣をつけようとするのですから、都合のいい話ですよね。
「親の背を見て子は育つ」
子供たちは大人のことをちゃんと見ていますから、大人たちも子供たちといっしょに本を読んでください。
「読書が子供に与える効果」と「子供に読書習慣をつけるための方法」について、いくつか例を挙げて説明しましたが、答えはここに挙げたものだけではありません。
それぞれの親子にはそれぞれの取り組み方や楽しみ方があるでしょう。
それを親子で探りながら読書を楽しんでみてください。
親子で同じ本の感想を共有でるようになったらいいですね。