この記事ではこんな疑問に答えていきます。
最近、書店で“雑談”というワードをタイトルにした本をよく見かけます。
やはりコロナ禍の影響もあり、他人とリアルにコミュニケーションする機会が減っているからこそ、雑談という言葉に注目が集まっているのかもしれません。
本書「雑談の一流、二流、三流」は、まさにその「雑談とは何か?」から始まり、45のシーンを想定して…雑談の方法や考え方を解説していく本です。
【Chapter1 雑談のはじめ方】の最初に「最初のひと言」という章があります。
これは、雑談を始めたときに「その雑談をつなげていく」ための手段を紹介したものです。
三流は、「今日は暑いですね」からはじまり、
二流は、「30℃を超えるそうですよ」からはじまり、
一流は、何からはじめる?
どうですか?
こんな感じのものが、1問に付き3~4ページほどで解説されています。
それが、45問あるのです。
筆者は、ちょっと時間が空いたタイミングを見計らって、クイズを解く感覚で読んでいきました。
三分の一を読み終わった辺りで、一つくらいは正解になるだろうと思い、読み続けたのですが、結局すべてバツでした。
我流の手法では、雑談そのものを成り立たなくさせているもかもしれませんね。
Contents
「雑談の一流、二流、三流」著者のプロフィール
本書の解説をする前に、著者である桐生稔さんをご紹介しておきます。
・株式会社モチベーション&コミュニケーション代表取締役
・日本能力開発推進協会メンタル心理カウンセラー
・日本能力開発推進協会上級心理カウンセラー
2017年、社会人のリアルコミュニケーション力を向上すべく、株式会社モチベーション&コミュニケーションを設立。
現在全国35都道府県でコミュニケーションセミナー、研修事業を展開する。数多くトレーニングを行ってきた経験から、人の心が動くコミュニケーションパターンを発見。
日経新聞、プレジデント、東洋経済ONLINE、Yahoo!ニュースなど、数多くのメディアに掲載される。
「雑談の一流、二流、三流」の概要
著者の桐生稔さんは、本書の「はじめに」で、極度な人見知りが原因で、新卒3ヶ月で左遷されたことを書いています。
のちにコミュニケーション力を向上させる会社を設立した桐生さんがですよ!
その「はじめに」の後半に、次のような文章が出てきます。
人の心を動かすのは「どんなことを伝えたか?」より「相手とどんな関係性にあるか?」です。その関係性を作るのが、まさに本テーマの「雑談」です
一言でいうと、これが本書の結論です。
筆者が書くブログやネットの記事名でよく使われる方法として、PREP法というものがあります。
これは、最初に「結論」を述べて、その後に「理由→具体例・事例→もう一度結論」という順番で読む人の納得させる手法です。
「まったくのPREP法ではないけど、これほどの書籍で冒頭にいきなり結論を言われてもなあ!」
これが、筆者が「はじめに」を読んだ最初の感想でした。
でも、「対談とは相手との関係性を作ることだ」っていうのは本当なのでしょうか?
そう言われると「なるほど」と思えるし、「いや待てよ!本当にそうだろうか?」と疑ってもいいんじゃないかな!?
そう思ってページをめくっていきました。
雑談のための問いを一つひとつ読み解いていくと「対談とは相手との関係性を作ることだ」っていうことが本当にわかってくるのです。
「雑談の一流、二流、三流」3つのポイント
本書には、雑談の一流になるための45のポイントが出てきます。
そんな中から筆者の主観で選ぶとしたら、次の3つにするでしょう。
・前の話からつなげて新たな話題を展開する
・違いをおもしろがることから会話の突破口を見つける。
・相手と会話をしているように、自分の話をする
なぜ、この3つを選んだのかというと筆者自身にとって非常に参考になったからです。
おそらく、人によって参考になると感じられる点は違うと思います。
ですから、ここではあえて汎用性の高いポイントに絞りました。
ポイント1 関係性を作るのが雑談
前述の通り、これは著者の桐生さんが本書の冒頭で出した結論です。
人の心を動かすのは「どんなことを伝えたか?」より「相手とどんな関係性にあるか?」です。その関係性を作るのが、まさに本テーマの「雑談」です
「相手との関係性を作ることが雑談だ」ということは、本書に出てくる45のすべてのポイントの基礎です。
それを実感するには読んでいただくことが手っ取り早いでしょうね。
ポイント2 雑談で準備する必要があるのは「表情」
これは、雑談を始める前の準備についての話です。
それがそのまま問いになっていますね。
三流は、何も準備せず、二流は、雑談ネタを準備し、一流は、何を準備する?
本書では“相手心地よく話せるような「表現」を準備する”ようにと答えを出しています。
雑談をするのにネタは必要です。
でも、ここでもやっぱり伝えることより、相手との関係性なのですね。
ポイント3 話させることがうまい人が雑談の一流
最後は、雑談の達人のようなスキルのことですね。
話を聞くことがうまいことも重要ですが、相手に話をさせることがうまい人が雑談の一流だといっているのです。
相手が聞いてほしいと思っていることを聞けば、相手はまた話したくなるというのです。
これもつまりは相手との関係性になっていきますね。
しかし、ここまでくると雑談とは「話し相手があってのっことで、話し相手が中心」ということのように思えます。
ここまでくるとやはり雑談の達人でしょうね。
「雑談の一流、二流、三流」から得られるもの
本書に出てくる45のシーンにおけるそれぞれの問いは、一度自分自身に置き換えてみてください。
そうすると本書に書かれていることがなぜ、一流なのか?ということが実感できます。
雑談の一流を実感することは各自で行ってもらうとして、ここでは著者である桐生稔さんがなぜ「対談とは相手との関係性を作ることだ」と気づいたのでしょうか?
これは本書から得られる最も基本的なことです。
この話も、本書の「はじめに」から始まります。
著者の桐生稔さんは、極度な人見知りが原因で、新卒3ヶ月で地方に左遷させられます。
地方に行ってから彼は、飛び込み営業ばかりやらされることになります。
飛び込み営業は、ほとんど門前払いやクレームになる場合もあるので、桐生さんは既存の顧客だけを回ることにしたのです。
それは、毎朝7時に1件目に訪問し、5分ほど担当者とたわいのない話をする。
8時には別の会社へいってことでも、ちょっと話をする。そして、9時にまた別の会社で・・・
彼は、そんなことを毎日続けました。
するとそれだけのことで既存の顧客からジャンジャン紹介が入るようになったのです。
それで彼は、エリアマネージャーになったそうです。
桐生さん自身は自分のことを”他人に興味がなく、自分のことばかりきにしている超ビビりな私”と言い切っています。
そんな人がどうやって、「対談とは相手との関係性を作ることだ」と言えるようになったのでしょう?
新規顧客の紹介が入ってきたのは、既存顧客の担当者との雑談の継続があったからではないでしょうか?
筆者のいう通り研ぎ込み営業は、門前払いが多く、非常に疲れます。
しかし、営業として何もしない、というわけにはいかないでしょう。
桐生さんが行った既存顧客の担当者とのコミュニケーションは、彼に新しい顧客を紹介することにつながったのでしょう。
桐生さんと既存顧客の担当者の関係性が
「こんなおもしろい話をする人がいる」
「あの人なら相談に乗ってくれるかも」
「そんなことなら紹介できる人がいますよ」
という雑談を作っていったのです。
そのことから、桐生さんは、人の心を動かすのは「どんなことを伝えたか?」より「相手とどんな関係性にあるか?」だということを学んだのでしょう。
「雑談の一流、二流、三流」要約のまとめ
最後に、本書の「おわりに」からまた筆者の言葉をお借りします。
筆者は、「おわりに」で再び、本書のテーマについて触れています。
リアルなコミュニケーション力を磨くにはどうすればいいか?それが本書のテーマ「雑談」です
5Gの時代が始まり、通信の速度は驚くほど速くなりました。
インターネットやスマホがあるために、人同士がリアルな状況で話ができる機会が減ってきているのは事実です。
しかし、そんな時代だからこそ、リアルなコミュニケーションをしようと筆者は力説しているのです。
桐生さんの雑談についての定義が、もう一つあります。
雑談の「雑」は「とりとめのない」という意味だそうです。
雑談はもともと「雑話」という意味なのですが、それを「話」としないで「談」としているのは、「話すことで関係性に火を灯していくこと」になるからだそうです。
「とりとめのない話をして、関係性をつくっていくこと」
やはり雑談は、人間にしかできないことでしょうね。