こんな疑問をもった人に向けてこの記事は書かれています。
あなたは、「雑談」をするためにスキルやノウハウが必要だと考えたことがありますか?
インターネットの「精選版日本国語大辞典」で「雑談」を引いてみると
“さまざまの話をすること。また、その話。とりとめのない話”
と解説されてありました。
これを見ると、やはり雑談のためにわざわざスキルやノウハウは必要ないような気がします。
しかし、本書「超雑談力」では冒頭でいきなり、雑談にはスキルやノウハウが必要であることが書かれてあるのです。
Contents
「超雑談力」の概要
「超雑談力」の目次の後に「超雑談力」チェックシートというのが登場します。
このチェックシートでその人の雑談力のレベルがわかるのです。
シートには「やっているのはどっち?」という質問があり、AかBのどちらかを選んでいきます。
診断結果は、雑談力が〈超人〉〈達人〉〈凡人〉〈素人〉の4レベルに分かれていて、筆者は〈凡人〉と診断されました。
「わたしが雑談力の〈凡人〉!?」
〈凡人〉には、こんなことが書いてありました。
“仲のいい人とは話せるかけれど初対面の人や目上の人との会話は苦手で、つい緊張してしまうタイプ。
ちょっとしたテクニックを覚えるだけで、人間関係のストレスとはグッと減ります”
「なるほど、確かにそうかもしれない。でも、そのちょっとしたテクニックって何だろう?」
「超雑談力」から得られるテクニック。
それは読者それぞれの雑談力によって異なるものです。
人それぞれに得手不得手がありますから。
そのテクニックが参考になって人間関係をうまく構築できるようになる人もいれば、すでにそれを会得していて何も必要がない人もいるかもしれませんね。
しかし、間違いなく言えることは、誰にとっても必ず役に立つテクニック(スキル、ノウハウ)が見つかるはずです。
雑談力の大切さに気が付くはずですよ。
「超雑談力」著者のプロフィール
本書の解説をする前に、著者である五百田達成さんをご紹介しておきます。
五百田達成(いおたたつなり)
作家/心理カウンセラー
「男女コミュニケーション」「きょうだい型性格分析」「ことばと伝え方とSNS」をテーマに執筆・講演。
35万部を超える「察しない男 説明しない女」シリーズほか著書多数。
「超雑談力」のポイント(要点)
冒頭で説明したとおり本書は、読者それぞれの雑談力のレベルによって、得られるスキルやスキルはことなります。
しかし、ここでは、筆者が「これはおもしろかったな!」と思えるものを独断で3ポイント(要点)に絞ってみました。
ポイント1 雑談の目的は、人間関係を作ること
本書では「雑談の目的は、人間関係の構築である」と定義しています。
つまり、会話を通じてお互いの警戒心を解き、スムーズで円滑な関係にしていくことが重要ということです。
おもしろい話をする必要はなく、ただなごやかに会話が続きさえすればいいわけですね。
ポイント2 困った会話は「お礼」を伝えて切り上げる
会話の中で説教じみことや自分の意見を押してくる人がいます。
その場合は、反論をせずに「ありがとうございました」と話を終わらせるようにと、本書ではすすめています。
誰でもお礼を言われると悪い気持ちはしませんから。
筆者は、このルールに驚きました。
雑談は「会話を続けさえすればいい」というルールから始まって、なごやかな雰囲気ではないときは、ありがとうとうといって去っていこう!というのです。
大人の雑談力ですね!
ポイント3 「メモしていいですか?」とメモを始める
上司や取引先の話は「おもしろいですね」と聞き流すのではなく、メモを取ろうとすると、相手の話がおもしろいとアピールしていることになります。
もちろん、真剣に聞いていることが伝わりますし、相手に非常にいい印象を与えます。
それに加えてそのことを自分のものにするよう覚えるためのコツは「すぐ人に話す」ことです。
「超雑談力」から得られるもの
本書では、雑談に関するポイント36個でてきます。
ここでは、次の2つの視点から、本書から得られるものを整理してみました。
(1)「超雑談力」7つのルール
(2)超雑談力のさらなる応用
本書に出てくる「雑談力」7つのルールは、次のとおりです。
・とにかく会話のラリーを続ける
・気持ちをやりとりする
・エピソードや経験を話す
・とことん肯定して共感する
・大きくリアクションする
・会話が途切れたら「身近な話題」に戻す
・ほどよいところで切り上げる
以上の7つのルールの中から基本中の基本と言える最初の3つをご紹介します。
①とにかく会話のラリーを続ける
ポイントは「雑談におもしろい話や結論は要らない」ということです。
つまり雑談は、ただただ続きさえすれば、いいうといことだそうです。
超便利フレーズ 「どうでもいい話なんですけど…」
このような臨み方が、雑談の基本姿勢だそうです。
②気持ちをやりとりする
雑談では「情報」ではなく「気持ち」を話すことが大切だといいます。
それは、調べればわかる情報ではなく、自分だけが感じる生の気持ちを共有することで親密な関係を築くのだとしています。
超便利フレーズ 「うれしかった」 「びっくしした」 「困った」
確かに、このような言葉の方が、人間らしさが伝わる気がしますね。
③エピソードや経験を話す
天候や時事ネタはでは雑談が、盛り上がらくなってしまう可能性が高いようです。
これも前述の「情報」と同じかもしれません。
天候や時事ネタではなく、「身近なネタ」を話す方が話は盛り上がるようです。
身近ネタとは、自分のエピソードや体験談のことです。
超便利フレーズ 「先週〇〇に行ったんですけど」
こうした個人的な情報を共有することは、親密な関係を作ることができるスキルといえます。
「超雑談力」のさらなる応用
前述のとおり本書では、雑談に関するポイントが36個紹介されています。
その中での「話を広げること」と「話を掘り下げること」ができる応用手法をピックアップしました。
①話を広げる 「答え+ひと言」
本書の冒頭の「超雑談力」チェックシートに「褒められたときは」という質問がありました。
この質問に筆者は「褒められたら謙遜する」と答えて、不正解でした。
これは「褒められたらお礼を言う」の章で出てきます。
褒められたことに対する答えとしては、「お礼」を言ってそれにひと言「情報」と加えることで、話を広げさせることができるのです。
「お礼+ひと言」というスタイルです。
「ありがとうございます。+今日の紺ブレはお気に入りで、同じものを3着持っているんです」
と答えれば
「どこでかったの?」
というように、さらに会話のきっかけになるという話です。
これは「お礼」以外のあらゆる「答え」に活用することができます。
超雑談力7つのルールの中に「とことん肯定して共感する」という項目があります。
雑談は、「否定」ではなく「肯定」で話を進めていくことがよいとされているわけですから、その肯定の回答に「ひと言」を加えることで。会話がはずみます。
②話を掘り下げる 「過去・現在・未来」
このルールは、話題の選び方の「知らないことを教えてもらう」の章に出てきます。
知らない人との対談の場合、共通点がないことがほとんどとします。
そんなときは相手が持ち出した話題で、自分がまったく知らない場合は、質問を投げかければいいというルールが活きてきます。
この際に重要な点は〈過去〉〈現在〉〈未来〉にフォーカスを当てることで、話を掘り下げることになるのです。
例えば、「釣り」の話をしたとしましょう。
〈過去〉 「昔からお好きなんですか」 「いつ始めたんですか」
〈現在〉 「いまでもよく行かれているんですか?」 「最近は何がおすすめですか?」
〈未来〉 「じゃあ、来週末も?」 「次に狙っている場所はどこですか?」
このように時系列的に質問を投げかけると話の中身がどんどん深くなっていきます。
「知らないことは聞けばいい」
そのためには、こんなように〈過去〉〈現在〉〈未来〉という視点から質問すると話は盛り上がるのです。
「超雑談力」の要約 まとめ
コロナ渦から始まったオンライン会議、在宅勤務などもあって、この2年余りのことですが、ずいぶんと人とのリアルなコミュニケーションが減っていますね。
筆者の杞憂かもしれませんが、この先「人と話をしたくない」という人たちが増えてくるのではないか?ということです。
確かにLineを中心とするSNSが暮らしの中に浸透してきて、人は直接、顔を合わせて自分の声で話をすることが減ったのは事実ですね。
しかし、考えてもみてください。
どれだけ、通信技術やAIやIoTが発達しようと、人は人と会って話をする方が快適なのではないでしょうか?
「超雑談力」は、本来あるべき雑談の基本を整理したものです。
リアルコミュニケーションが減った現代だからこそ、タイトルに敢えて「超」を加えたのかもしれません。
それくらいリアルコミュニケーションが大切だと本書は言っているのです。
人と会って話をすることを大切に。